Nonogatari

あともう少し。

2015.07.27

福岡、長崎、鹿児島。

九州公演を終え、一日だけ東京に戻って来ました。
台風の様々な影響でご覧になれなかったお客様がいらっしゃったり、開演時間を少しだけ遅らせたりと、やはり自然の摂理には逆らえないこともありましたが、それぞれの劇場で起こる、舞台と客席の空間に生まれるエネルギーはとてつもない大きさで、その波に呑み込まれそうになったり、時には上手に乗れたり、デンジャラスだったけれど良い経験をさせていただきました。
その土地によって、劇場空間によって、お客様によって、なにもかもが変化するんです。だから舞台に魅せられてしまうのでしょうね。だから役者をやめられないのでしょうね。『ライムライト』はまさにそうやって舞台に生きる人間を描いたお話しでもあります。残るは愛知、富山、長野。まだお席に若干余裕があるようなので、よろしければぜひいらしてください。・・あ、宣伝につなげてしまった(笑)。

 

移動の多い旅ですが、その分キャストやスタッフのみなさんと一緒に過ごせる時間も沢山あってとても充実しています。それぞれに抱えているものを懐にしまって、皆穏やかな笑顔をたたえ、いたわりあって日々を過ごしています。大人の先輩方の傍で、学ぶことが多いです。翌日公演がない夜はホテルの部屋に集まりグラス片手に夜な夜な語り合ったり、皆で現地の美味しいものを食べに行ったり・・・。
なんだかんだ言いながら結構満喫している自分に、ちょっとびっくりです。
鹿児島では半日ほど自由な時間があったので、皆てんでばらばらに散って行き、思い思いの行動をしていたのが面白かったです。フェリーに乗って桜島まで行き温泉に行く人、近くの銭湯でまったりする人、商店街で楽しんでいる人。本当にそれぞれ。
私は、ちょうどホテルの近くに美術館があったので、じっくりゆったり堪能しました。

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鹿児島市立美術館。

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閉館間際だったので人も少なく、一人でいちいち小さな歓声をあげながら、興奮して感動して、絵の中に入り込んでしまうようなそんな面白い感覚に浸っていました。
思いがけず私の大好きなセザンヌの絵も展示されていて、これは叫びましたよ。嬉しかったんですもの。ゴーギャンと関わりが深かったそうです。ゴーギャンはセザンヌの絵について「リアルであると同時に、想像的なものだ」と評していました。ほほぅ。私もそんな役者になりたいなぁ。
この美術館が所蔵している絵も沢山見せてもらえて、本当に至福の時間でした。

いつの日か、美術館の音声ガイドをやりたい。
私のひとつの夢です。

 

 

 

その後は、晩ご飯まで少し時間があったので、鹿児島在住のファンの方から事前に教えていただいて楽しみにしていた『ライムライト』というジャズ喫茶に行って来ました。

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とても趣のある店内で、マスターのセンスが光っていました。やはりマスターは映画「ライムライト」が大好きなんだそうで。珈琲も驚くほど美味しかったなぁ。

そして黒豚のしゃぶしゃぶを皆で唸り声をあげながらガツガツ食べて、ホテルに帰って新しいトゥシューズのリボンを縫い、あらためて映画「ライムライト」をもう一回見直しました。現代の日本で上演する価値のある新たな舞台版「ライムライト」であってほしいけれど、映画でチャップリンが丁寧に描き出したあの世界観を、私はぜったいに壊したくはないです。

 

そうそう、先日のブログで観たかった映画に行くと書きました。
それは『チャップリンからの贈り物』。
この映画にチャップリンは出て来ないのだけど。まぁ、遺体としては出て来るのだけど。チャップリンのすべての作品のオマージュになっていて、もちろん「ライムライト」の断片も随所に発見したり、、とにかくラストが美しかった。特に衝撃的なことはないはずなのに、いつの間にか涙が頬をつたっているような。すべての人間に生きる勇気を与えてくれる。それもさりげなく。チャップリンを友達のように感じてしまう、そんな温かい映画でした。
上映前の石丸幹二さんと大野裕之さんのトークショーも拝見できてお二人のチャップリンに対する想いを直接聞けてよかった。
ひっそりと観に行って後から感想を報告しようと思っていたのだけど、翌日幹二さんに会うや否や「ちゃっかり座って観てたでしょー!見つけたよ!」と。
バレてたのかー!!(笑)

 

 

 久しぶりの東京で、明日の名古屋行きに備えて、有意義に過ごします。

 

sumika