Nonogatari

いったい何年ぶり?夜の一人歩き。夜の大感動。

2024.01.30

こんにちは。
久しぶりに、ゆっくりカフェでののがたりを書こうという気持ちになり、嬉しく思っています。”時間がない” だなんてただの言い訳でしかなくて、書こうと思えばいつでも書けるはずなのだけど、こうして「書きたい!」と思う時はやっぱり大きな感動や驚きがあった時なわけで。

今年2024年は、そんな瞬間を増やしていきたいし、毎日同じことの繰り返しの時間の中でも、小さな感動や驚きをたくさん発見して文章に残していきたいなと思っています。(決して上手に文章を書けるわけではないですが、こうして書くことで自分の心の整理にもなるし、書き残すことで読み返した時にその時の感情を鮮明に思い出せるのはやはり素敵な作業ですよね)

 

 

さて。
先日、よい時間を過ごすことができました。

夜に一人で出歩くなんて、いったい何年ぶりでしょうか。もしかしたら子どもが生まれてから初めてだったかもしれない。(お仕事以外で)

向かった先は銀座の王子ホール。
威厳のあるライオンが正面玄関に佇むことでで有名な銀座三越百貨店のすぐお隣にある、美しいコンサートホールです。

『天鼓 I love music』というタイトルの、クラシックとお能のコラボレーションの公演を拝見しました。昨年「能楽体感」でとてもお世話になった武田宗典さんがご出演されるということで以前からお知らせをいただいていたのですが、なにせ夜の公演。4歳の母という身では難しいかな・・・と半ば諦めていました。でも思い切ってダメもとで家族に相談してみたら、自分が思っていたよりもすんなりと色々なことが進み、快く送り出してもらうことができたのです。もう、自宅から駅に向かう道のりだけで、ルンルン!ニヤニヤがとまりません(笑)「この解放感は何なんだー!!この身軽さは何なんだー!」と喜んでいるうちに(きっと電車の中でもニヤニヤしていたと思う)、あっという間にコンサートホールへ到着。
私にとっては、非日常の贅沢すぎる空間でした。

 

『天鼓』という演目はお能の世界で古くから伝わるもので、今回はその後半部分にお能とクラシックの音楽とが合わさって、一夜限りの新たな作品が生まれるという試み。公演チラシやあらすじを読んでも、そこまでのことしかわかりませんでした。

でも一旦舞台の幕があがると、どんどんと惹き込まれていきます。
地謡の男性が8人。圧巻。一気に全員が声を発したとたんに、能舞台での響きとはまた違った、重厚で複雑な声音がコンサートホールに響きます。お囃子の音色もスコーンと響いて、地面にのめり込んでいくような、深く地に降りていくような感覚がなんとも心地よく、ただ・・・お能の展開はついていくのに必死(笑) 開演前にあらすじを熟読しておいたので、こういうことなのかな?と想像を膨らませながら一生懸命ついていきました。
そして気がつけば物語は後半に。なんといきなり、客席の後方の二階部分からバイオリンの音色がギュイーンと鳴り響いたのです。驚いて後を振り向くと3人のバイオリニストさんが黒いスーツを着てお能の世界に入り込んできました。こんな入り方があるのか!予想外!と興奮しているうちに、今度は舞台上に荘厳な佇まいの恰幅の良いバイオリニストさんが物語に馴染むような素敵なお着物で音色を奏でます(篠崎“まろ”史紀さん)。そして同じく舞台上にはスポットライトに照らされた小鼓の奏者が(人間国宝 大倉源次郎さん)。こんな鮮やかな展開で世界がガラッと変わる瞬間に立ち会えたことに喜びが込み上げます。物語はつまることなく自然な流れで展開していき何の違和感もありません。その中に、洋の世界の音が入ってくることで、私の頭の中に五線譜が浮かび、ドレミの何の音かが聴き取れることで、慣れた音とリズムの安心感というものにも包まれます。地の深くから一気に天上の世界へ昇華していくような音楽の変化が、武田宗典さん演じる天鼓の霊の清らかな佇まいや表情、動きになんとも絶妙にピタッとフィットして、身体の芯から鳥肌が立ちます。

・・・・と、ここまで興奮しながら感想を書いてみましたが、自分の表現力のつたないこと!!(笑) 私が体験したあの感動が伝わる気配がしません(笑)
なのでこのあたりで感想はおしまいにしますが、御出演者の方と作曲家 加藤昌則さんのアフタートークも最高に楽しくて、地に足がついた・・いや、地に根が張ったような、そんな人生を長く深く生きた方々のお話は、こんなに心に刻まれるのか・・・と、本当にありがたい時間でした。

この公演がたった一夜限りだなんて、信じられません。こんなことなら友人家族親戚を引き連れて来れば良かった!と後悔するくらい。ののがたりを読んでくださっているみなさんにも熱く熱くお誘いしたかったくらい。
お能ってすごいよね!音楽ってすごいよね!魂がふるえるね!と喜び合いたかった・・・・なんて勝手なことばかり言ってすみません(笑)
私がもし企画に携わっていたなら、事前にプロモーションビデオの撮影はマストだな。切り取るのはこの瞬間とこの瞬間で、このアングルで、この字体でテロップをつけて、ナレーションはあの声優さんにお願いして、海外のサイトにも掲載して・・・なんて頭の中でプロモーションビデオの構成まで妄想が始まってしまうくらいでした(笑)

 

今回の感動は、私自身がこういった芸術に触れる機会に渇望していたから、なおさら喜びが大きかったという理由は大いにあると思います。音楽に触れることや、日本の文化に触れることも、きっと、とても好きなんだろうなと思います。

世の中には沢山の良質な芸術やエンタメがあって、そのために多くの方が魂を注いで
創造に携わっているのだろうなと、あらためてその方々に想いを馳せました。
隣の芝生は青いというけれど、その創造の一端にいたりいなかったりしてきた自分の今の状況からは、いいなぁ、羨ましいなあ。という気持ちがチラッと霞むこともあります。でもきっと、今「4歳の子どもの母」として奮闘している私の心だからこそ感じられた感動もあるはず。それを大いに喜びたいと思います。

ささやかな日常にの中にも、自分の心持ち次第で、感動は沢山ありますよね。

ここまで長くなってしまいましたが、読んでくださりありがとうございました。
前回の投稿のとおり、お年賀状のお渡し合い企画は終了しましたが、いつでもお便りはお受け取りできますので、みなさまも、何か心が動いて手紙を書きたくなったということがもしありましたら、ぜひお待ちしていますね🎵

それでは。

すみ花