Nonogatari

「アプレジェンヌ」出演を終えて、想うこと。

2022.02.21

 

 

2月19日に初めて訪れた、汐留にある日本テレビ。
最近はなかなか民放のテレビ局に訪れることがないので、たくさんのバラエティ番組やドラマのチラシが所狭しと張り巡らされている廊下に圧倒されながら歩き、バラエティ番組のスタッフさん達や出演者のスタッフさんたちがいつもの如く淡々と、しかし目まぐるしくお仕事されている様子を目にして、なんだか少し浦島太郎の気分になってしまったのでした。

あぁ、私もこの世界知っているなあと。

そんな遠い目をしている私にも、周りには沢山の人が。
ヘアメイクさんとスタイリストさんがあわせて4人も駆けつけてくださって、至れり尽くせり「野々すみ花」という人物を綺麗に仕上げてくださる。

そして今回の番組「アプレジェンヌ」の番組制作の方々も大勢いらっしゃり、本番前の打ち合わせの際には、宝塚時代の野々さんのあの作品、この作品・・・・と、次々と過去の作品のお話しを繰り広げてくださる姿に、こんなに宝塚への愛が深い方々が制作されている番組だったのかと改めて驚く。

 

事前の細やかなアンケートや、綿密な野々すみ花の調査(笑)をしていただき、数々のやりとりを経て迎えた本番は、なんだか少し清々しい風が吹いたようでした。
しかし・・
宝塚時代のことだけでなく、卒業してからその後どのように歩んでいるかという話題にも大きくスポットを当てていただくはずだったのに、まず宝塚時代のことが濃すぎて、つい真剣に話し過ぎてしまい、後半は急遽構成を組み替えていただいたりと、お騒がせしすぎてしまいました・・・。
司会進行を務めてくださった安藤翔さんと中島芽生さんは、本当にお話しの引き出し方やまとめ方、つなぎ方がお上手で、これまでどれだけの数の生放送を果敢に挑んで来られたのだろう。そしてその奥にはどれだけの準備と努力があったのだろうかと想像せずにはいられませんでした。

そして、私に内緒で決行してくださった本気のサプライズは、驚きすぎて全身の力が抜けてしまいそうになりました(いや、多分抜けていた)。
退団して10年。もう10年も経つのに、
相手役であった大空ゆうひさんがお手紙をくださったのです。
まるで昨日のことかのように鮮明に綴られたあの時のこと。
そして今だから言えること。
自分がいつか死ぬ時には棺桶にゆうひさんの写真を入れてもらうことは既に決めてあったのですが、このお手紙も一緒に入れてもらうことに決めました。

代読してくださった中島芽生さんもなぜか涙目になっておられましたが(なんてピュアな方なのですか)、きっとあのお手紙に大きく心動かされるのは、私だけではないはず。宝塚という世界は、舞台で上演される作品そのものだけでなく、生徒の生きざま、舞台に向かう姿勢もすべて含めて応援してくださる。一緒に共有する感じでしょうか。そして卒業というタイミングを迎えてからも、もう帰って来ない時間だからこそ、それぞれの心に鮮明な記憶として残る。

退団して10年経った今だからこそ振り返ることが出来たたのかもしれないです。
このタイミングで良かったと思いました。

簡潔に端的にお話ししていくことがとても難しくて、もしかしたら語弊があるように聞こえてしまう箇所もあるかもしれませんし、意味不明なことも喋っているかもしれません。そのあたりも含めて、未熟な野々すみ花本人の未熟な言葉として受け取ってください。

 

大空ゆうひさんからのお手紙、そしてその後のパニック寸前の野々の様子は、ぜひYoutubeにてご覧いただければと思います。

 

それから有難いことに、あとお二方からもメッセージをいただいたのです。

現在、日々を共に過ごしている春風弥里さん(みーさん)から。
『人やモノに対する、これは真実なのかという真実性みたいなもの、偽りのない、それそのものの純度みたいなものとか美しさみたいなものに対する感度がめちゃくちゃ高い人だと思うんですよ』
とお話しくださいました。毎日毎日SUMIREというコミュニティやsumireno.というショップで私たちが実現すべきことを話しあっているなか、このようなお言葉をくださって本当に嬉しかったです。
みーさんは、今回のインタビューを受けてくださるために、なんと何年も前の”ののがたり”まで遡って読み直して「すみかのことをもう一度ちゃんと知っておこうと思って」と、いつも真正面から向き合ってくださる方なのです。だから、一緒に事業を進めて行ける毎日が本当に楽しい(実際には苦しいことのほうが多いけど、みーさんと一緒だから苦しいことも楽しめる)。
本当に素敵な出逢いに感謝しています。

 

そして、宙組時代を共に過ごした、卒業してホヤホヤの後輩 愛月ひかるさん(愛ちゃん)。
10年前に私は宝塚を去ったのに、未だにこの存在を覚えていてくれて、お芝居についても有難いコメントをいただいて、この繋がりが本当にありがたいことだなと思いました。
私は、宝塚を退団したら「余生をゆっくり過ごす」ものだと思っていました。
でもそれは違いました。
新たな扉がパカーンと開いて、その世界は何倍にも広くて何倍にも激しく荒くて、自分次第でどんなところにも行ってしまう、宇宙のような場所でした。
新たな宇宙で、宝塚という美しい場所から飛び立った後輩のみなさんが、美しい景色を見られますようにと、願うばかりです。

そしてそして、前回の”ののがたり”にも書きましたが、同期の花里まなにも、スペシャルサンクスです!いつの間にか、色々な写真を準備していてくれていたり、さまざまな手配もおこなってくれました。

 

無我夢中で過ごした宝塚。

今になって、ようやく少しずつ、宝塚を通していただいた「愛」に触れることができて、それを少しずつ言葉にできるようになってきました。

 

すみ花