京都の南部。
2017.01.20
先日『野々すみ花がゆく~お茶の京都~』の番組について”ののがたり”でお話ししてから数日後、なんと自分が生まれ育った故郷「久御山町」にお住いの方からお手紙が届いた。久御山は小さい町なので私の生家のことなど情報を耳にする機会があるそうで・・。今は東京にいるけれど、野々すみ花の根っこは久御山にあるんだと感じて嬉しくなったと書かれていた。
そう、その通り。わたしの根っこは故郷にある。
そのお手紙を読んでいて、いろんな思い出が走馬灯のように巡った。
わたしは故郷で人の役に立つことの歓びを教わった。
まだ[無農薬有機栽培]という言葉が今ほど浸透していない時代
父が始めたことは「珍しい」どころか「変人」扱いされた。
なぜ見た目の綺麗なものを量産しないのか
なぜ葉っぱに付いた虫を一つずつ手で潰しているのか。
害虫に乗っ取られたビニールハウスは全滅。そのシーズンの野菜が全て台無しになることもしばしば。そんな失敗を繰り返しながら切り開いてきた道は平坦だったはずがない。安全で美味しい野菜を食べてもらいたいという父の想いは凄まじかった。
農家には農家の苦悩があり、農家には農家の歓びがある。
わざわざ遠方から父の作る野菜を求めに来てくれたお客さん。
毎朝その日の野菜を取りに来てくれた料亭の料理人さん。
ニワトリが卵を産むまで気長に待ってくれたお客さん。
野菜嫌いだった子供が食べられるようになったという嬉しい知らせ。
我が家の食卓は、春夏秋冬ありとあらゆるお店には出せない形のイビツな野菜でいっぱいだった。
でもどれも最高に美味しかった。
そんな故郷を忘れるはずがない。
京都の南部にある小さな町「久御山」。
中学生の頃だったか。真冬の夜中、翌日出荷するカブラを今にも凍りそうな井戸水で優しく洗いながら
父と夢を語り合っていた。”畑の学校”を作ろう。と
農業を志す若い人たちが大勢集まって、皆んなで学ぶ場があればいい。ただ作物を作るだけでなく、生き方を一緒に考えよう。と。
私は女優をやりながら”野々印(ノノジルシ)”というブランドを立ち上げて(笑)、こだわりを詰め込んだニワトリの卵をプロデュースしたり、いろんな野菜を作ったり、その “畑の学校”にも携わりたいと思っていた。
もう叶わない夢。
でも京都の農業を、日本の農業を盛り上げたいと思う気持ちは消えていない。
今回の旅『野々すみ花がゆく~お茶の京都~』は、愛着のありすぎる京都の南部の旅。そしてもっともっと知りたいと思っていた「お茶」の旅。お茶というものはシンプルだからこそ難しく奥が深いのだと感じました。
京都府南部の山城地方12市町村、すべての場所がクローズアップされます。
素敵な方々とお話させていただきました。
お茶に対する想いを聞かせていただいたり。
お茶にまつわる伝統的なあそびを教えていただいたり。
伝統を受け継いでゆくことの尊さや、維持してゆくことの大変さ、お茶の味い深さ、お茶の歴史、そして映像の美しさ・・・色々感じていただける番組になっていると思います。そして「煎茶」「玉露」「抹茶」について新たな味わい方ができるようになるかもしれません。
22日(日)16時から16時54分
BS-TBS『野々すみ花がゆく〜お茶の京都〜』
ぜひご覧ください。
すみ花