Nonogatari

放送を終えて。

2016.04.30

『世界ふしぎ発見!』を観てくださったみなさま、ありがとうございました。

いかがでしたか?

私は、はじめて熱帯地方へ降り立ち、荒い自然に向き合い、なんだかほんとうに、自分の中のなにかが変わったような気がしています。「人生が変わった」という言葉がふさわしいのかどうかは分からないけれど「新しい扉を開いた」。そんな感じでしょうか。

とても印象に残っているのは、放送部分とは関係がないのですが(笑)、ボロブドゥール遺跡の原型となった遺跡を探しに行くために向かった、ジャワ島西部のレバッ・チベドゥ村でのこと。

IMG_7213

ここは車で入れる道の行き止まりから、歩いて4時間半の山の中にあります。
ひたすら歩くと、突然目の前に開ける小さな村。男性も女性も、大人も子供も、皆穏やかな笑みを湛えていました。たくさんのニワトリが辺りを駆け回っています。宿泊施設などはないので、その日はシャーマンでもある村長さんのお宅に泊めていただきました。沢山歩いたあとだったので汗だくの体。お風呂場を案内してもらい、その場所を見て、一瞬、ほんの一瞬、身構えてしまった自分があったのです。本当に恥ずかしくて情けなくて、そんな自分に嫌悪感を抱きました。それを打ち破るが如く、一心不乱に服を脱ぎ、(おそらく)川から汲んだ水を貯めてある不透明な色をした桶から、手桶ですくって頭からバシャッと滝のように水をかけました。とても冷たかったけれど、なんともいえず気持ちが良くて、急に自分が自然の一部になったような、溶け込んで行くような感覚をおぼえたのです。その瞬間、心も身体も生き生きして来たことがはっきりとわかりました。長い間、自分の中に眠っていた感覚がやっと現れた感じでした。ほんとうに嬉しかった。
体を洗うのも、食事を作るのも、用を足すのも、その貴重な一カ所の水場を使います。それがここでは当然のことなのです。シンプルに、芯の通った生活の仕方なのです。

村長さん一家は私たちのチームを歓迎してくれて、その場でニワトリを3羽さばいてご馳走を作ってくれました。

IMG_7246

絶対に無駄にはしません。頭も足も煮込み、長い腸もその水場で綺麗に洗って調理します。

IMG_7247

夕飯が出来上がるまでに3時間くらいかかったでしょうか。ご飯の盛りつけをお手伝いさせてもらったりして、あとは、縁側でみんなでぼおっと待ちました。そういう時間の使い方をしたことがなかったので、最初は戸惑いましたが、だんだん、あぁ生きているのだなぁと感じて来ました。村長さん一家と我々は地べたでご馳走を囲み、そして我々は一緒にひとつの部屋で寝袋に入り、床に就きました。よく眠り、そして翌朝元気に村を発ちました。

IMG_7266

村長さんと一緒に。

この経験は忘れません。
大切なことを教えていただきました。
村のみなさんに感謝。

 

 

IMG_7267

山を降りる途中で記念撮影。
(左からディレクターのヤマザキさん、ルッフィ博士、コーディネーターのフリッツさん、技術VEのフジエダさん、ADのミヤモトさん、ノノ、そしてフザケテいるおじさんは(笑)「世界のタテオカ」と呼ばれる名カメラマンです。)

 

それから、なんといってもイジェン山の『ブルーファイア』。
絶景でしたね。写真を載せたかったのですが、あまりにも過酷な場所すぎて撮る余裕がありませんでした・・・。もし興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、ぜひ実際に行ってみてください。昼と夜では、まるで世界が違います。詳しい行き方などは『世界ふしぎ発見!』HPにありますので、ご覧くださいね。日本人の姿は見えませんでしたが(今まであまり知られていなかったようです)、ヨーロッパからの方が多かったです。声を大にして言います。ガスマスクとゴーグルは必須です。ないと、本当に危ないです。完全装備であっても、風向きによって煙に包まれると、目の前が真っ白になり、恐怖で、立ちすくむしかありません。それでも、ブルーファイアーを目の前にすると、来て良かったと心から思えました。自然の力は偉大です。

IMG_7395

昼間。ガイドをしてくれたイムさんと。
午前中に一度 山を登り(片道約2時間)撮影をしていったん下山し、そして夜中1時からまた登り、日が昇るまでこの火口にいたのですが、イムさんはずっとずっと私の側で安全を守ってくれました。
今回の旅、私はどれだけの人に支えられたでしょうか。
感謝するしかありません。

 

IMG_7429

イジェン山の山頂にて。一晩火口で過ごした後の、早朝。ハイテンションな野々。 
(私の右隣はコーディネーターのハリーさん。)

IMG_7402

オバマ大統領!・・・ではありません(笑)。似てる。

 

 

 

 それからそれから、ドリアン祭りも印象的でした。

IMG_7335

一年に一度、村の男性たちがドリアンに向かって突進する。
こんな光景はきっとここでしか見られないだろうと思います。
とにかく、生きることを楽しんでいる様子が伝わって来ました。
私も、もみくちゃになりながら、楽しみました。

IMG_7365

ドリアンは、生まれて初めて食べました。
さすが果物の王様!美味しかったなぁ。
こうしてお祭りの中でみんなと一緒にワイワイ食べるから、なおさら美味しく感じるのでしょうね。

 

本当に、楽しい経験ばかり。仕事なのにこんなに楽しんでいいのか!?と心配になるほど。いやいや、どんな時も楽しむこと、そしてそれを素直に伝えることがミステリーハンターの仕事なのです!

IMG_7292

(後ろに映っているたくましい女性はコーディネーターのイチャさん。)

そう思えたのは、旅の途中からでした。

自然の驚異を目の前にして、つくりものの言葉は、何の意味もなさない。風にフッと吹き飛ばされてしまうものだとわかったのです。
うまくやらなきゃ、しっかり伝えなきゃ、ミステリーハンターらしくやらなきゃ、そんな想いでいっぱいだったのですが、ディレクターさんが言ってくれました。「野々すみ花がどう感じるか。それだけだ。」と。そこから少し変われたような気がします。
知らないことを知らないと言える潔さ。これは私にとって簡単なことではなかったのですが、恥をかく覚悟で素直になることが大切だとあらためて気づきました。

 

 

 

 

IMG_7270 

最後に。
こちらはジャワの茶畑を拝借して、シャンプーのCM風に撮影している場面(笑)
紅茶の葉っぱをお湯に入れ一晩寝かせたものを髪に染み込ませると、ツヤツヤさらさらになるということだったのですが、私の髪はクセ毛で剛毛なので、一回の体験では・・・ええっと・・ごにょごにょ。。
それでもスタッフさん達は、はりきってこの場面に臨んでくださいました。
これで、野々すみ花にシャンプーのCMが舞い込んで来るぞと、我々は真剣に楽しみにしているのです(笑)。

 

 

 

 

どんなことも真剣に、本気で楽しむことができた旅。

人は自然という驚異の中で生きていることを実感した旅。

人と人とのつながりに感謝できた旅でした。

 

IMG_7422

 

 

 

 

M.H.nono